アムネスティ･インターナショナル　ニュース・リリース
AI Index: MDE 28/005/2002
解禁日: 25/02/2002

「昨日の人権活動家モハメッド・スマインに対する名誉毀損罪で禁錮1年という判決は、遺憾なことに、 アルジェリアでは深刻な人権侵害に国家の関与があると合法的疑問を持つひとは重い代価を払うことになることを明らかにしている。」とアムネスティ・インターナショナルはこの有罪判決に言及して本日発表した。

人権擁護連盟(LADDH)のレリザン（西アルジェリア）支部の支部長であるモハメッド・スマインは、レリザン上訴裁判所によって、前市長で民兵の地元指揮官であるモハメッド・エル＝ハジ・フェルガネと、 同じ民兵8人に対する名誉毀損罪 であると宣告された。モハメッド・スマインはまた5,000ディナール(約65USドル)の罰金と9人の原告それぞれに30,000ディナール(約390USドル)の賠償金を支払うよう命じられた。彼は現在拘留されていない。この判決を控訴するかどうか、10日間の 時間がある。

モハメッド・フェルガネと彼の同僚はモハメッド・スマインを、レリザンというワリヤ（県）における多数の市民の誘拐、拷問、殺害、「失踪」と、この地域の大規模墓地への犠牲者の死体の遺棄 との関連をでっちあげたとして告訴した。

モハメッド・スマインは、彼の弁明の中で、モハメッド・フェルガネとその仲間が家族を誘拐するところを見たという多くの「失踪」者の家族の主張を報告しただけだと述べた。裁判中法廷内で、何人かの目撃者はモハメッド・フェルガネとその同僚が、行方不明となっている家族を家から強制的に連れ出した男たちであると確認した。同時に「失踪」者の他の多くの家族たちが、裁判所の外で自分たちの家族に正義を求めるデモを行なった。

この事件で民兵の同僚たちは元武装勢力のメンバーを証拠提供のために呼んだ。このメンバーたちは政府に投降し、その後釈放されたと言われている。 この犯罪には、民兵であるモハメッド・フェルガネや同僚たちではなく、これら元武装勢力メンバーたちが関わっていたのだと主張された。

「罪を犯した者は誰でも、それが民兵メンバーであっても武装勢力メンバーであっても、この10年間のアルジェリアにおける深刻な人権侵害 において、その犯罪が十分に調査されることはない」とアムネスティは述べた。

「またショッキングなことに、これらの人権侵害の罪を犯した者は、免責を享受し続けている。もはや話すことのできない被害者のために真実を求める人は厳しく制裁されるのである」とアムネスティは付け加えた。「判決は被害者やその家族にとって大きな侮辱である。」

背景情報
1992年から10万人以上のアルジェリア人が殺害され、数千人が拷問され、数千人以上が治安部隊による逮捕後「失踪」している。しかし深刻な人権侵害のほとんどの場合、その罪を犯した容疑の者が治安部隊であっても、民兵であっても、武装勢力であっても、何が起こったかという真実が明らかになることはなく、責任者がその罪によって拘留されることはほとんどない。

モハメッド・フェルガネとその同僚は「失踪」者の家族が彼らを告発したその罪で、1998年4月に逮捕された。しかし、彼らは3日後仮釈放された。1994年から1997年の間レリザン地域における多数の市民の誘拐、拷問、殺害、「失踪」 に関与したというその告発の重大性にもかかわらず、独立した公正な調査はなく、事件は事実上止まっている。

モハメッド・スマインは2001年2月23日の逮捕後、不倫の罪で告発され、2日間拘禁された。彼のパスポートは没収され、彼はレリザン地区外に出ないよう、また毎週行動を当局に報告するよう命令された。数週間前まで彼の身分証明書と運転免許書は当局によって専断的に没収されていた。これらは彼の通常の人権活動を制限することが目的とみられている。

モハメッド・スマインは2001年12月29日、第一審裁判所によって、禁錮2カ月の判決をうけ、5,000ディナール(約65USドル)の罰金と一人につき10,000ディナールの賠償金を支払うよう命じられた。原告たちはこの判決は寛大すぎるとして控訴した という。

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