待つ生活

 2022年11月18日

11月は私たち家族にとって困難な月です。パパが私たちと一緒でなくなり、また1年が過ぎたことを思い出します。パパの誕生日にはまた一人ぼっちであることを思い出します。この3年、11月19日に私たちができることは、パパのことを考え、次の誕生日に一緒にいられるように祈ることです。

私の父、イドリス・ハタックは、最初強制失踪の対象となり、次に2年1カ月間独房に入れられ、最後に秘密軍事法廷から14年の実刑を宣告されて刑務所に送られました。

2021年12月、パパはアディアラ中央刑務所に移送されました。これは最小の慈悲です。現在、私たちは彼に会って話し、どれだけ彼がいなくて寂しいかを伝えることができます。少なくとも、私たちは彼がいる所を知っています。

しかし、物事は私たちがこうだろうと考えていたものではありませんでした。鉄格子やゲートが非常に厚くてその奥に立っている人がほとんど見えない一室に、30〜40人が愛する人と会っているのです。私は、彼と話すためにベンチの上に立つこともあります。最初の4カ月は、まるで彼が危険人物かのように、高度警備刑務所にいたのです。

会うたびに、嬉しくもあり悲しくもありました。少なくとも彼に会えたことは嬉しかったのですが、彼が経験した、そしてまだ経験しているトラウマを思い出しました。大学時代の友人とは関わりを持てませんでした。違う世界に生きているように感じたからです。私の姉は子連れで過密な面会室に行くことができず、全然会うことができませんでした。

彼は後に高度警備刑務所からCクラスの刑務所に移されましたが、弁護士や家族との電話など、便宜の多くは与えられませんでした。私は、移された後の毎週土曜日、混雑はしているものの以前ほどではない場所で彼を訪ねていました。私たちが会って部屋に戻るたびに、刑務所にいる友人に「あと6日だ」と言っていたと、彼は私に話しました。その友人が 「何が？」と聞くと、パパはこう答えました。「私の家族にまた会えるまで」と。

私が彼に刑務所で一日中何をしていたかと尋ねた時、それが彼の答えでした。彼はあなたたちが私に再び会うのを待っていると言います。

彼が待っている姿を見て、このケースが進まないとどんどん不安になっていく彼を見て、私は胸が張り裂けました。彼は意気揚々としていて、一緒にいられる日まで闘い続けると言いますが、時々無力感を覚えているのを見ます。毎回ケースの進展はあるかどうか彼が私に尋ね、私の答えがいつも同じ答えである時です。ニュースがなく、パパをがっかりさせるのは嫌です。

パパの生活が停止し、待つ生活になっても、私たちの生活はパパなしで続きました。私は大学を卒業しましたが、卒業式の招待客名簿は空欄でした。パパはいなかったのです。私の甥が生まれ、1歳になったとき、パパはその子に会えませんでした。私が就職し初めて給料をもらった時、父と一緒にお祝いをすることができなませんでした。彼が私たちと一緒にいることを願いながら自分の部屋で一人でした。

私たち家族にとって、物事は大きく変わりました。だれも想像しなかったことを経験しなければならなくなったのです。

彼の運命が私たちに知らされていること、少なくとも私たちは彼に会って話をし、どれだけ私たちが、彼がいないことを寂しく思っているかを伝えることができるだけ、私たちは幸運だと考えます。パパは私が知る限り最も無私の人であり、だれかを傷つけることは決してしません。彼の人生はずっと、周りの人びとを助けようとしてきたのです。私は、すべての行方不明者が家族と再会できるよう、祈り望みます。

背景情報
イドリス・ハタックは2019年11月13日、イスラマバードから帰宅する途中、カイバル・パクトゥンクワ州のスワビ・インターチェンジ付近で自由を奪われ強制失踪のとなった。7カ月後になって国防省はイドリス・ハタックを拘束していることを認めた。民間人にもかかわらず、イドリスは軍事法廷で裁かれ、パキスタンの公務機密法に基づくスパイ行為で起訴された。2021年12月、14年の実刑を宣告されたとの報道があったが、彼の家族は正式な通知を受け取っていない。イスラマバード高裁に控訴している。