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2021年2月
「ソロ・ソケ」世代はあきらめないだろう
ナイジェリアの悪名高い特別対強盗分隊(SARS)は、処刑、痛めつけ、容疑者から情報を引き出すために、拷問やその他虐待の継続使用での免責を享受している。この数年、ますますSARSの被害者がニュースとなり、毎回ソーシャルメディアで多くの憤りが沸き上がり、時には抗議行動も起きている。
この数年、ナイジェリア政府は、この問題を解決しSARSを解散させると約束した。しかしながら、SARS隊員たちは、恐喝、強かん、拷問、殺人を続けた。
2020年10月4日、SARS隊員たちが2人の男性をホテルから引きずり出し、外でそのうちの1人を射殺するところを撮影した動画が拡散した。数日後、ナイジェリア中で抗議活動が頻発した。10月11日、SARSが解散した。しかし、ナイジェリア当局が警察改革とSARSの解散を約束したのは、2015年以降5回目だった。抗議行動は空約束以上のものを要求し続けた。
10月20日、ナイジェリア軍はレッキ料金徴収所での平和的な抗議活動を暴力的に弾圧し、抗議行動参加者を銃撃し、少なくとも12人を殺害した。その日以来、ナイジェリア当局は、レッキ料金所銃撃事件を隠蔽しようとしている。抗議行動指導者の銀行口座を凍結したり、銃撃戦の映像を流した通信社に罰金を科したりした。
しかし「ソロ・ソケ」(ヨルバ語で「声を上げよう」)世代は、正義のための闘いをあきらめないだろう。答えを求めているのである。
レッキ料金徴収所銃撃:否定から半分真実まで
10月20日、ラゴスのレッキ料金徴収所での平和的抗議行動は、ナイジェリア軍による実弾で暴力的に弾圧を受けた。少なくとも12人が死亡した。アムネスティは、その日に何が起きたのかを調査し、出来事のタイムラインを共有した。目撃者や家族の証言、そして何時間もの映像や画像の分析が、あの日の衝撃的な真実を伝える。
10月20日、その日中、レッキ料金徴収所で平和的な抗議行動が起きていた。人びとが踊り、ヘアスタイルする姿が見られ、レッキ料金徴収所の前の演壇でスピーチが行われた。
午後6時29分、車両はボニー・キャンプを出発し、レッキ・エペ高速道路に名前を変えたオズムバ・ムバディウェ通りを東に進み、レッキ料金徴収所の方向へ。
午後6時45分頃、ナイジェリア治安機関が空そして抗議行動参加者へ銃撃を開始した。人びとは倒れて負傷し死亡した。この銃撃は真夜中過ぎまで続いたと報告されている。
地元の病院は、市民によって運ばれたレッキ料金徴収所で負傷した抗議行動参加者たちを受け入れたという。アヨ・アランモラーテ医師がCNNに、病院はその夜、銃で撃たれ、切り傷を負った約15人の負傷者を受け入れたと語った。
レッキ料金徴収所で起きたことは、軍や治安機関が不法な殺害を犯したときはいつもでも隠蔽のナイジェリア当局のパターンの特徴を持っている。
ナイジェリア当局は多くの答えにくい疑問がある。だれが平和的抗議行動参加者へ殺傷能力の高い武器の使用を命じたのか?
なぜ前もって現場のCCTVカメラが取り外されていたのか? そして軍が抗議行動参加者に発砲する数分前に、だれが電気を止めるよう命じたのか?
銃撃における兵士の関与を最初は否定した後、抗議行動参加者に対する軍の攻撃の結果による死者の恥ずべき否定があった。
事件当日以降多くの人がいまだ行方不明で、信頼できる証拠は軍がその後重傷者へ救急車の到着を妨げたことを示している。
アムネスティは、銃撃事件の背後にいる人間を裁きにかけるよう、そして集会の自由の権利を行使している人びとを保護するよう、ナイジェリア当局に要請する。アムネスティは、この銃撃事件、そして証拠隠滅のために軍が射殺された人びとの遺体を持ち去ったという報告について、現在も調査を続けている。 |
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SARS、違法な殺害、拷問、強奪の歴史
SARS部隊は、1992年にラゴスにおける武装強盗に対処するために創設された。この部隊のメンバーは、私服・普通車で暴力的犯罪に対する覆面捜査をしていた。公に武器を携行せず、犯罪者や武装強盗の逮捕の成功を促進することが主な任務だった。
2002年、SARSはラゴスから他の州に広がった。その責務は、武装強盗、殺人犯、誘拐犯、雇われ暗殺者、その他の暴力犯罪者の容疑者の逮捕、捜査、起訴だった。この部隊はすぐに道路を封鎖し、金銭を強要し始めた。SARS隊員は公に武器の携行を始め、時間外に超法規的殺害、拷問、恣意的逮捕、違法な拘禁に関与した。
2006年と2008年に、暴力の報告数が増えてきたため、大統領委員会がナイジェリア警察の改革を提案した。
2009年、アムネスティの「したい放題の殺害:ナイジェリアにおける超法規的処刑とその他違法な殺害」と題した報告書で、毎年数百人が警察の手によって死亡していることを示し、警察改革を勧告した。
警察による失踪が頻発した。多くの家族が警察署や拘置所で愛する人を探していた。2010年、ポートハーコートで警察留置中の6人の男性の失踪を調査することを、アムネスティは要請した。
2013年には、アナンブラ州の川で35人の遺体が発見された。彼らはSARSによって殺害されたと報告された行方不明者たちだった。
2015年、ナイジェリア当局は、長年の人権侵害や暴力の報告を受け、SARSと警察の改革を約束した。しかし、その改革は十分ではなかった。
2016年「自分の死刑執行令状に署名をしている」と題した報告書の中で、アムネスティの調査員は、新たに複数の暴力事件を公表した。アブジャの「アブバトール」と呼ばれたSARSの拘禁施設への訪問の詳細を語っていた。そこでは130人の被拘禁者が過密な監房で生活していた。被拘禁者は、吊るす、飢餓状態、殴打、銃で撃つ、模擬処刑を含む、さまざまな方法で日常的に拷問を受けていた。
2017年、#EndSARSというハッシュタグをつけたソーシャルメディアキャンペーンが開始された。数百人ものナイジェリア人がこのハッシュタグを使い、SARS隊員による暴力を公表し、人権侵害を行った人間への免責の廃止を要求した。拷問を犯罪行為とし、残酷で非人道的な取り扱いに罰則を定めた反拷問法が採択された。その年の終わり、過剰な力の行使の問題に取り組むために、SARSの包括的な改革が再び提案された。しかしこの部隊のメンバーはまだ免責を享受していた。
2018年、当時の大統領代行イェミ・オシンバジョ教授は、この部隊の暴力に対する抗議が高まりSARSの改革を命令した。しかしそのメンバーは違法な活動への責任を問われることはなかった。大統領調査委員会がこの部隊の活動を調査するために設置され、調査結果は政府に提出された。公にはその調査結果は隠された。
2019年初め、新たに就任したナイジェリア警察の警視総監は、SARS隊員によって犯された人権侵害へのナイジェリア人の長年の抗議を認め、連邦特別反強盗部隊（FSARS）やその他特別部隊の解散を命令した。しかし前の試みは効果がなく、多くの人が予想していたように、今回の新しい試みも失敗した。
2020年半ば、アムネスティは「免責を終わらせる時」と題した悪名高い部隊の新しい報告書を発表し、SARSによる警察の暴力への免責を終わらせるよう求めるオンライン署名を開始した。2020年10月、数日間にわたるSARSの廃止を求める抗議行動の後、ナイジェリア当局はSARSの解散と、新しいSWAT部隊への置換を発表した。この時、抗議行動参加者たちはそれを信じなかった。警察を改革するという当局による数年もの空約束の後、よく分かっていた。
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