|
2019年3月11日
2017年と2018年に、米国のトランプ政権は米国とメキシコ間の国境で数千人もの移民の家族を分離した。子どもたちは親から引き裂かれ、各地のシェルターに収容された。親たちは拘禁施設に拘留され、子どもと連絡を取ることができない人もいる。
それに応じて、世界的なアムネスティ国際人権教育プログラムが、教育と活動のために動いた。アムネスティが提供した資料を使って世界中の教室で、生徒たちは、米国とメキシコの国境での家族分離という、ひどい政策と実施について学んだ。そして、生徒たちはセネガルからケニア、ベネズエラ・もっと遠くから、トランプ政権の理不尽な移民政策の結果として苦しんでいる数千人の移民の子どもたちに、愛と連帯のメッセージを送った。
7カ月を早送りする：2019年1月、アムネスティ調査団が米国とメキシコの国境を訪問し、人びとが米国で庇護を求めようとしたときに直面する状況を記録した。この国境への旅はアムネスティ調査団が前に発表した「トランプ政権は国際法を無視し、国境で危機をでっち上げている」で確認した。すでに数千もの人びとに悲劇的で取り返しのつかない損害を引き起こした、そして引き起こし続けている政策を実施している。
アムネスティ調査団は、国境のメキシコ側の庇護を求める人びとのためのシェルターを見学した。国境管理官が米国への入国を拒否した後、移民が強制的に滞在させられている場所である。これらの家族は公式の国境検問所（「入港地」と呼ばれる）からメキシコに戻り、庇護が許可されるまで数週間または数カ月間強制的に待たされる。非常に危険で不安定な状態となることもある。多くの庇護を求める人びと、とくに子どもや家族、あるいはLGBTIの人びとにとって、メキシコで待つことは非常に危険となりうる。
カサ・デル・ミグランテは、メキシコのシウダードフアレスにあるシェルターの1つである。調査団は訪問し、米国に入国するのを待つ家族の悲惨な現実を目撃する機会を得た。シェルターは通常約65家族を収容する。そこは高い壁、厚い門、そして警備員によって厳重に警備されている。3歳の子どもはサッカーをして走り回り、10代の若者はベンチに座っていた。母親たちは赤ちゃんの世話をし、母乳で育てていた。そこで10代の少年が冗談を言ったり、軽食を一緒に食べたり、辛抱強く待ったりしていた。三輪車の乗り方を練習する幼児がいた。みんなが番号の付いたプラスチック製のブレスレットを着けていた。この数字は米国に庇護を求めるために列に並ぶ、メキシコとアメリカの入国管理官によっていつか呼ばれるであろう彼らの場所を示した。
調査団はキューバ、ホンジュラス、グアテマラなどから来た家族と面会し、彼らはどのように迫害や想像を絶する暴力から逃れたかを話した。
|
|
メキシコ国境の町ティファナと同じように、シウダードフアレスのシェルターには、割り当てられた番号のリストされた庇護を求める人びとの名前のある、らせん綴じのノートがあった。それぞれのブレスレットと同じ番号である。国境入港地に近づく許可を持つ次の数人に電話をかけるとき政府職員はシェルターに通知した。庇護を希望する人びとを計るためのノートという考え方は非常に常態化しているため、完全に違法であることを忘れているかもしれない。実際、米国の国境管理官は、国境を越えて庇護を求める人びとにその場で庇護申請を提出させる義務があり、彼らの保護希望を受けずに危険にさらされるかもしれないメキシコに押し戻すことは国際法では違法である。
人権・移民連帯グループは調査団に、米国職員は、ほぼ毎日、フアレスの中心部で、バス1台分の移民を降ろし、メキシコに強制送還したかそれとも国境に押し戻したと話した。ときには50人、200人のときもあった。国境のコミュニティは慌てて彼らの世話をしたが、いつもすべての人に説明することはできず、そして人びとは見過ごされる。彼らは完全に消えたり誘拐されたり、時には組織犯罪によって殺害されたりした。難民支援弁護士は、この数年で彼の顧客のうち5人がフアレスで殺害されたとグループに話した。
シェルターでは、メキシコ警察のバンと車が警備された門の外にとまった。拡声器が数字をスペイン語で耳をつんざくような大声で叫び始めた。数人の人びとは急いで彼らの家族を集め所有物をまとめ、そして出るための短い列を作った。彼らの番号が呼ばれていた。
調査団にとって見張ることは非現実的であり、手助けできない。列に並ぶ人びとが米国の入国管理制度がどれほど残酷で容赦のないものになりうるかを知っていたのか。どのように彼らの子どもたちが連れ去られたのか、庇護申請の裁定を待つまでどのように無期限に収容されたか。これらのことが起こり得ると彼らは知っているのか?
まだ価値はあるのか?
国境グループはアムネスティに、ほとんどの人は何も期待していないと話した。彼らは絶対に戻ることはできない、メキシコはいつも安全というわけではないことだけ知っているのである。
スペイン語を話すアムネスティの職員は、番号を呼ばれた人びとと話した。「おお、あなたはみなアムネスティですか?」と、警察バンへの自分の順番を待って、列に並ぶ1人の女性は尋ねた。
「私はあなたの署名すべてに署名します」と彼女は微笑みながら言った。
出発する前にアムネスティの代表者は、世界中の生徒からの連帯の手紙をシェルターのコーディネーターに手渡した。彼女は、シェルターの子どもたちにこれらの手紙を渡すと約束し、感謝を表明した。
シェルタ−にいる人びとのような、移動する家族やその他の人びとは、自分たちの生活を再構築しようとしている。多くの人は絶望的になり将来を恐れている。人びとをとくにすべてを失った人びとを、危険にさらす米国政府の実行は、思いやりがなく基本的な人間の尊厳に違反し、多くの場合米国法と国際法に違反している。
シェルターに届いた手紙を送ってくれたすべての学校、先生、そして生徒たちに感謝します。残念なことに、家族の分離、拘禁、国境戻しの実施は今日も続いている。私たちの活動は終わっていないが、シェルターでの手紙の手渡しは連帯には国境がないことを力強く思った。
|
|