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1995年2月28日、アルジェリア西部オランの自宅の近くで治安部隊によって逮捕されたとき、アデル・マヒは高校生であった。彼の家族はそのたゆまぬ努力にもかかわらず、彼の行方についての公式の返答を受け取っていない。そのために彼を失ったことをきちんと悲しむことができないままである。
数千人もの強制失踪した人びとは、政府の推定で20万人以上の生命を奪った内戦の最も恐ろしい遺産の1つである。イスラム救国戦線(FIS)の勝利が確実だった国会議員選挙の中止がきっかけとなった内戦中に、重大な人権侵害がすべての勢力によって行なわれた。
1993年11月23日アルジェの自宅で保安要員の一団によって逮捕されたとき、トゥフィク・ベルモクタルは20歳だった。2日前に彼は一時的に拘束され、顎ひげを剃るように言われたという。当時顎ひげは非合法となったFISの支持者の象徴としてみなされていた。多くの他の強制失踪の事件と同じく捜査は行なわれず、加害者はその責任を問われていない。
このような重大な人権侵害が決して繰り返されないことを保証する行動を取る代わりに、アルジェリア当局は「平和と国民和解」の名のもとに一連の恩赦施策を採用した。これらの施策は、免責を定着させ人権侵害の加害者を無罪にしている。
1990年代に目立った大虐殺、強制失踪、拷問、恣意的逮捕やその他の虐待の記憶を消し去ろうとする努力の中で、アルジェリア政府は表現の自由の権利を沈黙させようとしている。平和と国民和解のための憲章を実施する2006年2月の条例06-01は、治安部隊に対する申し立てを法廷で認めないとしている。さらに内戦中の治安部隊の行動を批判する人はみな最大5年の刑を受ける恐れがある。
愛する人についての返答を得ることができないままの数年が経ち、その多くが女性である失踪者の家族は沈黙の壁を壊している。彼女たちは大声で話し、失踪者家族の会を作り、真実および正義、補償という権利を要求するためにデモを行なっている。
これらの活動に応じて、当局は死亡証明書の提示を条件とする経済的補償を家族たちに提供している。多くの家族はこの申し出を拒否している。原則からという人もいるが、他の家族は捜査が実施され加害者が裁きにかけられるという望みが終わってしまうことを恐れているためである。多くの場合、家族の唯一の稼ぎ手である家族を失ったことによる負担が原因で補償を受け取った家族もいる。
たとえばアブデルカリム・アリビの妻は、娘のために経済的な補償を受け取った。アブデルカリム・アリビはアルジェの自宅で報告によれば軍服を着た保安要員によって逮捕された1995年8月28日以降失踪している。その数週間後に、彼の妻は夫が不在のまま彼らの最初の子どもを出産した。そのとき以降彼女の夫の行方について公式の情報を得ようという彼女の努力は失敗に終わっている。
アムネスティ・インターナショナルは、真実と正義のためのこれらの家族の闘いを支持し、強制失踪のすべての事件で捜査が実施されるように、そして加害者が裁きにかけられ、被害者やその家族が十分な補償を受けられるように要請する。
wire 2009年6・7月号より |