コンゴ東部における戦争

　コンゴの民主共和国(DRC)で新たな戦闘によりさらなる人類の悲惨が生まれている中、wireは現在の状況とこの複雑で長期に渡る血塗られた紛争の根本を調査した。

　1発の首の後ろへの銃弾によって、2008年11月21日、ラジオ・オカピの記者であるディダセ･ナムジムボは殺害された。彼の遺体は南キヴ州の州都ブカヴの彼の自宅の外の通りで発見された。彼には妻と3人の子どもがいた。

　この殺害は2007年に起こったブカヴにおける別のラジオ・オカピのジャーナリスト、セルジェ･マエシャの殺人を繰り返したものである。ラジオ・オカピは国連とヒロンデル財団(ルワンダのジェノサイドにおける党派的なラジオの役割を恐れたスイスのジャーナリストのグループによって設立された)によって作られた。「戦争の渦中にある平和のためのラジオ」として2002年に放送を開始した。ニュースを取材するというラジオ・オカピのジャーナリストとして使命は続いている。戦争もまた継続している。

　11月5日、北キヴのキワンジャの町で、反政府軍である人民防衛国民会議(CNDP)の戦闘員たちが、政府側の民兵マイマイの支持者を探して家々をまわった。目撃者によれば、多くの若い男たち「若い父親や新婚の夫」が家から連れ出され、銃殺あるいは刺殺された。大虐殺の夜の後、少なくとも72人が埋葬された。そして実際の死亡者数はだれにも分からない。

　キワンジャには国連ミッション(MONUC)の避難所に避難している数千人の民間人を保護するために活動している国連平和維持部隊要員がいた。彼らはこの殺害を止めるために介入しなかったと報告されている。

　この夜の出来事は何年にも及ぶ紛争における1つの事件に過ぎない。紛争が最も激化した1996年から2003年にかけて、自国の利益や支援者のためにアフリカ5カ国による部隊が参加した。この紛争の特徴は女性への性暴力や子ども兵士の徴集である。権力および資源のための戦争は、女性や子どもを攻撃した。

再開した戦闘

2008年10月下旬、CNDPが政府軍に対する新たな攻撃の開始時に、世界の注目はコンゴ東部に集まった。10月30日の一方的な停戦宣言まで、CNDPは4日間で政府軍に圧勝し、主要都市ルツルの支配権を握り、北キヴ州の州都ゴマまであと15キロに迫った。

子どもの強制的徴集や強かん、民間人の意図的な殺害、広範囲な略奪を含む、戦闘に参加するすべての勢力による人権侵害が報告された。

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　これは、女性と子どもに対して行なわれた
　権力と資源をめぐる戦争である
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　少なくとも25万人の民間人、そのほとんどが女性と子どもである、が、戦闘によって避難した。この州で国内避難した総数は、100万人をはるかに超えている。11月26日、アムネスティ・インターナショナル調査団は、コンゴ民主共和国(DRC)とウガンダの国境を隔てる川の橋を越えて避難した数千人の人びとと面会し、次のように述べた。

　「幸運にも大きなテントに泊まることができた人もいるが、今日は数千人の人びとが外で寝ることになるだろう。彼らの多くは食べ物がなく、水もほとんどない。国境にたどり着くまで20キロも彼らは歩かなければならなかった。」

　この最新の戦闘はローラン・ンクンダ勢力を国軍に組み込む計画が崩れた後の2007年8月に北キヴで始まった。この戦闘の終了を目指して、国際社会によって仲介された2つの主なイニシアチブ(構想)があった。2007年11月、ルワンダ政府とDRC政府は武器および新兵の違法な国境越えの防止で合意した。そしてDRC政府はルワンダ民主解放勢力(FDLR)の必要であれば強制的な解体に同意した。

近隣国の関与

　1998年、ルワンダとウガンダが支援した武装勢力は、当時のDRC大統領ローラン・デジレ・カビラに対して立ち上がった。ジンバブエ、ナミビアおよびアンゴラは、彼らを撃退するために部隊を送り込んだ。翌年、戦争に関与する6つのアフリカ諸国は、ザンビアのルサカで停戦協定に署名した。しかし、ウガンダとルワンダは部隊を2002年まで撤退させなかった。
　

コンゴ東部における武装勢力

　コンゴ東部の民間人は、多くの混乱した武装勢力および民兵による暴力の危険に晒されている。
　CNDPには4千〜6千人の戦闘員がおり、ルワンダのフツ族武装勢力であるFDLRによる攻撃からツチ族コミュニティを保護するために戦っているのだと主張している。彼らは1994年のルワンダのジェノサイド後にDRCに避難した人びとである。
　FARDCは国軍で、現在混迷を深めている。大規模人権侵害はFARDCの規律が崩壊した後に起こっている。
　総勢数千人もの及ぶFDLRは、主に1994年にルワンダから撤退したフツ系ルワンダ人によって成っている。ルワンダのジェノサイドに責任ある民兵インテラハムウェ(interahamwe)や元ルワンダ軍(元FAR)の残存者も含んでいる。
　マイマイは親政府派民兵であり、そのほとんどがPARECOとして知られる連合で集団となっている。FARDCの不在により、マイマイがCNDPに対抗する主な戦闘部隊になった。
　国連DRC派遣団であるMONUCは、緊迫した暴力の脅威の下で民間人や人道援助要員を保護するために、殺傷能力のある武器を含む「必要な手段すべて」の使用を認められている。2008年末、約1万7千人の平和維持部隊のうち、北キヴには6千人が配置された。11月20日、国連安全保障理事会は、決議第1843号によって、MONUC への3,000人以上の軍事および警察要員の暫定的な増派を認めた。

根本原因

　終わらないこの紛争の背後には、根本的原因の取り組みへの国内的そして国際的失敗が存在する。この失敗の多くはDRC政府が原因であると言うことができる。DRC政府は鉱業、司法、治安機関の意味のある改革の実行に失敗している。またこれは国際的ドナーの責任でもある。ドナーはこれらの改革を強く要求してはいない。

　根本原因の1つは北キヴにおける天然資源の支配という問題である。北キヴの主な鉱物資源−金、コルタン、錫−は、州西部のワリカレ地域で発見されている。鉱物産出の一部はゴマを通過してルワンダに運ばれる。ワリカレ鉱物局は政府の管理外にあり、多くの鉱物が脱退した国軍兵士あるいはFDLRを含む武装勢力の物理的管理下にある。

　これらの鉱物の商業的利益は、謎につつまれているが報告によれば、政府関係機関の重要人物やコンゴのツチ系実業家にも広がっている。後者はローラン・ンクンダの反乱の財政支援者と噂されている。2008年初め、DRC政府は中国の企業グループとインフラプロジェクトへの投資と引き換えにDRCにおける重要な採掘権をこれらの企業に与えるという数十億ドルの契約に署名した。同時に政府はワリカレ鉱山のより大きな管理を行使するために動き出した。これらの進展は無秩序なワリカレの鉱物取引で利益を得ている人びとに不安を生み出し、戦闘の主な原因の1つになるかもしれない。ローラン・ンクンダの報告されている要求の1つは中国による投資の再交渉である。

2008年1月の和平合意には、政府とCNDPを含む武装勢力が署名したが、FDLRは参加しなかった。しかしながら武装解除プロセスは、政治的論争により停滞し、実際には開始しなかった。CNDPは2008年4月に破棄し、停戦は決裂した。

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戦闘部隊すべての勢力による、子どもの強制的徴集、強かん、民間人の意図的な殺害、広範な略奪を含む人権侵害が報告された。
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　政府は、FDLRの解体に失敗し、その結果政府と国際社会はDRCにおけるツチ系コミュニティを保護するためになにも行動していないとCNDPとルワンダ政府の双方が主張することになった。またCNDPは、政府が和平プロセスにおけるCNDPの影響力を薄めるために、ゴマの和平に多くの民兵マニマニを使用していることに腹を立てた。

　CNDPと政府の間の交渉は2009年1月に再開した。しかし北キヴの平和的解決、とくに紛争の根本原因への取り組みは、いまだに確実というには程遠い状態である。

アムネスティ・インターナショナルはなにを要請しているのか？

　経済的政治的な利益、同盟の交代、そして秘密の国際関係というこの複雑なクモの巣の中でも、アムネスティ・インターナショナルははっきりとした焦点を維持している。私たちは市民の保護を要請している。短期的にはMONUCの強化を意味する。長期的にはコンゴ東部の人びとにとって持続可能で安全な解決策は、武装勢力が解体されれば、武器の増加を終わらせるならば、そして免責が有効に取り組まれれば達成されることができる。正義と説明責任は大規模な人権侵害の繰り返す循環を壊すために極めて重要である。





wire2009年2・3月号より
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