UA  318/07 　 身の安全の懸念
ボリビア共和国

対象者： スクレ市の数百人の抗議行動者たち
　殺害された人: ゴンサロ・ドゥラン・カラサニ(男性)、 ファン･カルロス･セルード･ムリーリョ(男性)、ホセ･ルイス･カルドソ(男性)

11月24日25日の両日にデモ参加者と警察による暴力を受けた後、チュキサカ県スクレ市南部の抗議行動者たちは危険な状態にある。両日の衝突で3人が死亡した。暴力を受けた2日目に当局はさらなる戦いを阻止するため警察に対しスクレからの一斉撤退を命令した。

少なくとも138人の与党系憲法制定議会議員が新しい憲法草案の骨子を承認するためにスクレにある軍事訓練学校に集まり、抗議行動が起こった。野党議員はこの会議をボイコットした。11月24日抗議行動者ゴンサロ・ドュラン・カラサニは銃による傷で死亡した。25歳の学生フアン・カルロス・セルード・ムリーリョは、警察が群衆へ発射した催涙ガス弾が胸にぶつかり11月25日死亡した。もう一人の抗議行動者であるホセ・ルイス・カルドソは騒乱の中で彼が受けた銃による傷により11月26日死亡した。

国内や海外の報道によれば、11月24日に警察は岩とこん棒で武装した数千人もの抗議行動者を追い払うために催涙ガスとゴム弾を使用した。翌日には石や爆竹、火炎瓶で武装した数人の抗議行動者たちが交通警察(Organismo Operativo de Transito)本部を襲撃した。コンピュータ機器や文書を破壊し、オートバイや警察や民間の車1ダースに火をつけた。襲撃を受けた後、当局は警察にこれ以上の暴力を阻止するためスクレからの一斉撤退を命令した。

背景情報

スクレで行なわれた憲法制定議会はボリビアの新しい憲法を起草するために2006年8月に設立された。これは社会運動が政府に対し数十年間に渡って取り組むように要請していた仕事である。しかしながらこのプロセスは、スクレやその他の都市で数ヵ月間におよぶ、異なる政党が関係する市民団体による多くの暴力的なデモを引き起こし、数人が死亡している。

憲法制定議会はボリビアの新しい憲法を起草するために最大1年という期間を与えられている。255人の議員で構成され、うち137人がエボ・モラレス大統領の政党である社会主義運動党(Movimiento al Socialismo, MAS)である。 

制定議会は国を分裂させ、モラレス大統領と、自分たちが統治する地域についてより広く自治を求める保守野党との間の緊張を高めている。政庁所在地および国会のラパスからスクレへの移転を論議することを議会に要請するキャンペーンは、スクレで2007年初めに野党によって開始された。ラパスは大統領支持派の本拠地である。スクレを政治・行政上の首都にするという要望は、首都ラパスの、そしてスクレの緊張を高めている。スクレは1899までボリビアの首都であったが、現在は最高裁判所のみ所在する。

2007年8月、憲法制定議会開始1年後、1つの文章も承認されず、そのため12月14日まで議会がその職務を継続することを許可する法律が通過した。制定議会議員はこの会期中に前進するために首都移転の議論を棚上げにすることを決定した。この決定はスクレで暴力的な反対運動を引き起こし、会期は一時中断した。9月8日スクレにおける抗議行動の中で最も暴力に満ちた一日の後、チュキサカ裁判所は制定議会にこの会期中に首都の問題を議論するように命令した。11月21日制定議会は議員の安全への懸念がある中8回目の会期中断をした。11月23日に再召集され、この会期中に新しい憲法の草案が憲法制定議会のうち138人の議員によって承認された。新憲法は国民投票にかけられる。 

(期限切れにつき以下省略)