コカ栽培を根絶しようとする治安部隊の合同作戦において農民が殺された。土地の権利を求めるデモがあった。鉱山労働者のあいだで暴力的な衝突があり、死者が出たとの報告があった。刑務所の環境は劣悪である。

背景
　総選挙で大統領に選出された社会主義運動党(MAS)の党首、エボ・モラレス・アイマが、1月に就任した。保健や教育、司法など基本的な権利の利用の改善ならびに差別の解消を目的とした国家開発計画が発表された。しかし、それをどう実施するかについての情報は得られていない。
　改革プログラムが開始されたが、これは、2006年8月に始められた、憲法改正のための憲法制定会議の設立を含む。5月には法令が可決された。これは、石油やガス事業を国営化し、外国人投資家や外資企業と契約を再交渉し、また増税を行ない、国による買収条件を定めるものである。小作農民や先住民への国有地の分配を含む土地改革プログラムが6月に始められた。
　11月、さらなる改革を求めた先住民組織のデモを受けて、農地改革法が議会を通過し、大統領が署名して成立した。新しい農地改革法の下では、国が小作農民への分配の目的で非生産的な私有地を没収することができる。サンタクルス県とベニ県、パンド県では地主がこの改革に反対した。この年、これらの県とタリハ県は自治権を要求した。
　12月、サンタクルス県で、市民団体と先住民非政府組織、政治団体、ジャーナリスト、コミュニティ・リーダーが、地域の自治権を求める協議において衝突した。MASの施設や先住民のコミュニティ・センター事務所が放火され、先住民組織のメンバーの自宅が略奪された。この件を調査していたジャーナリストはサンタクルス市の街頭で襲われ、さらに嫌がらせを受けたラジオ局が放送中止に追い込まれた。
　ボリビアは5月に国連拷問等禁止条約の選択議定書を、7月に経済的、社会的および文化的権利の分野における米州人権条約の追加議定書、通称「サンサルバドル議定書」を批准し、11月には拷問の防止と処罰のための米州条約を批准した。

子ども
　7月、国連開発計画(UNDP)とユニセフによる調査は、ボリビアにおいて、適切な治療が受けられなかったことが原因で毎日230人以上の幼児が死亡しており、子どもと未成年者10人中6人の基本的ニーズが満たされておらず、10人中5人が貧困ライン以下で暮らしていると報告した。報告書はボリビアに対し、国の発展における子どもの役割の重要性を認識し、子どもの保護が欠如している現状を打開し権利を守るため、保健や教育分野などの計画を実行し、子どもの権利を守るよう求めた。

コカの撲滅
　9月、コチャバンバ県ユンガス・デ・バンディオラ地域にあるカラスコ国立公園付近でコカ撲滅作戦が行なわれている際に、警察と軍から成る統合機動部隊のパトロールによって2人の農民が殺害され、1人が負傷した。

鉱山労働者の衝突
　10月、ラパス県の鉱山都市ウアヌニで、政府雇用の鉱山労働者と独立系協同組合のメンバーが衝突し、少なくとも9人の鉱山労働者が亡くなり、数十人が負傷した。衝突でダイナマイトや銃器が使用されたと伝えられているが、これはスズ採鉱場への立入権をめぐる争議によって起こったものだった。この件について捜査が始められている。

刑務所の環境
　劣悪な刑務所の環境が報告されている。4月、サンタクルス市のパルマソラ刑務所において、5人の囚人が殺害された。刑務所内の支配権を争うライバル・グループ同士の衝突の結果であると伝えられている。
　11月には、全国19カ所の刑務所で、迅速な裁判と刑務所の状況の改善を求め、収監者たちがハンガー・ストライキを始めた。

免責
　2003年10月のデモにおいて少なくとも60人が殺害されたことに対し、検察当局は12月にゴンサロ・サンチェス・デ・ロサダ元大統領と2人の元大臣を起訴した。当局は、殺害についてゴンサロ・サンチェス・デ・ロサダを裁判にかけるため、米国からの身柄引渡しを求めている。

政府間組織
　ボリビア訪問の後、11月、米州人権委員会は、とくに農村部において司法が利用できないこと、および、司法当局へ関連情報を提供する際に治安部隊と軍とが協力していないことを指摘した。また、劣悪かつ過密な刑務所の収容状況と、70パーセント以上の被拘禁者が判決を受けていないことに懸念を表明した。さらに未成年者が成人の被拘禁者とともに拘禁されていることについても指摘した。

アムネスティ声明
• Bolivia: Open letter to the President of the Republic of Bolivia, Evo Morales Ayma (AI Index: AMR 18/001/2006)

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