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ボリビア共和国 (2003.1.1-12.31)
デモ参加者に対して法執行官が何度も過剰な力を行使し、80人以上が死亡したという報告がある。刑務所の状況は国際基準を下回っており、被拘禁者への虐待が報告されている。
デモ
政治的状況は、政府の経済政策に対する市民の不満の高まりに著しく影響を受けた。経済と社会的状況が悪化し、ガスなどの国の天然資源輸出計画への反感が高まり、ラパス県のあらゆる地域、首都ラパス、また国内のその他の地方で抗議行動が起きた。政府が米国政府と合意したコカ葉根絶作戦に抗議するエル・チャパレ地区のコカ栽培者が、デモと路上封鎖を実行し、治安部隊と衝突して、5人の農民が死亡、数十人が負傷した。9月と10月には抗議運動が拡大した。人権団体は、80人以上が死亡し多数が負傷したと主張したが、そのほとんどが治安部隊による過剰な力の行使によるものだったということである。司法長官発表の死亡者数が56人だったのに対し、オンブズマン事務所発表の死亡者数は59人だった。デモ参加者数百人が逮捕されたが、恩赦によって11月に釈放された。こうした抗議行動によってゴンザロ・サンチェス・デ・ロサダ大統領が辞任し、代わってカルロス・メサ・ヒスベルト副大統領が大統領に就任した。
過剰な力の行使
ラパス 2月、ラパスで軍とデモ参加者が衝突し、33人以上が死亡した。デモは政府の所得税増税決定に反対する警察のメンバーによって計画された。死亡者には警察や軍の関係者だけでなく一般市民も含まれており、100人以上が負傷した。その後の社会不安は他の都市にも飛び火した。ラパス事件の捜査は一般司法制度の枠内で開始された。10月、2人の民間人殺害の罪に問われた4人の軍関係者の事件は軍事司法制度の管轄となった。
ワリサタ 9月、ラパス県のワリサタで、デモと路上バリケードの最中に、8歳の女児を含む5人の民間人と1人の兵士が銃撃をうけ死亡、20人以上が負傷した。この発砲は軍と警察の合同部隊が路上バリケードを撤去しようとした際に起こった。合同部隊は中学校や個人住宅に強引に突入した後に発砲したという報告がある。
高地地方とラパス 10月、労働組合員、坑夫、農夫、先住民族を含む数千人が国内のガス資源を売却するという政府の提案に反対してエル・アラトとラパスでデモを行なったが、デモは他の町にも拡大した。デモ参加者と治安部隊の衝突で少なくとも59人が死亡した。通常法廷が捜査を行なうと発表したが、軍事法廷も捜査に加わったという報告がある。
刑務所の状況
刑務所の環境は劣悪で、国際基準を下回っており、ほとんどの刑務所の基本設備は不十分であった。政府はこの問題を解決するために、効果的な対策を実施することも、十分な予算を割り当てることもなかった。受刑者は他の受刑者や看守からの殴打や処罰を受けていると報告されている。経済的社会的窮迫から、受刑者の親族が受刑者とともに刑務所内に居住するという事態が頻発した。
・コチャバンバ県コチャバンバにある、男女共に収容されているサン・セバスチャン刑務所と男性専用のサン・アントニオ刑務所は粗末な設備であり、厳しい過密状態に苦しんでいる。サン・アントニオ刑務所において、収容者の妻やパートナーたちが7歳以下の子どもたちと、非常にひどい状況にある刑務所内で暮らした。
・サンタ・クルス県サンタ・クルスにあるパルマソラ刑務所は適切な下水設備や清潔な飲料水がない。飲料水設備の建設を含む刑務所の改良は、囚人自身によって行なった。
政府間組織
8月、土地の所有権をめぐる紛争で先住民族を支援している人権擁護活動家が警察官による脅迫や嫌がらせを継続的に受けているという報告について、国連人種差別撤廃委員会が懸念を表明した。また同委員会は、アフリカ系ボリビア人コミュニティーのメンバーが経済的、社会的、文化的権利を十分に享有しうる方策をとるよう勧告した。
6月、ボリビア政府は、集団殺りく、人道に対する罪および戦争犯罪で起訴されている米国国籍所有者を国際刑事裁判所に引き渡さないことを規定した免責協定に調印した。このような協定は国際法のもとでの義務違反である。この協定は年末の時点では批准されていない。
アムネスティ調査団派遣
2月と11月代表団訪問。政府高官および非政府組織(NGO)の代表との会合、情報収集。 |
