インドネシアにおいて人権への憂慮の表明を積極的に行なうとき、それを傷つけるために反対の行動がしばしば取られている。これはパプア州において繰り返し行なわれている。群島の東にあるこの州は、独立の要求に反対するインドネシア政府治安部隊によって今も頻繁に容赦ない弾圧を受けている場所である。
その最近の例はワメナとワシオールの2地域における重大な人権侵害の申し立てを調査するために国家人権委員会(Komnas HAM)によって設立された調査委員会(KPP HAM)である。これは重要な動きであるが、もしインドネシア政府の十分な支援と協力がなければ、その活動は危機に瀕するだろう。
ワメナにおいて、調査チームは2003年4月に武装独立要求勢力である自由パプア運動(OPM)のメンバーによる州軍本部への襲撃の後に起こった出来事を調査する予定である。襲撃で盗まれた武器・兵器を取り戻すため、容疑者捜索を実行するために、村人たちは拷問・虐待を受け、家屋や他の所有物への損傷を受けたり、破壊されたりしたということである。約30人が拘禁され、その多くが拷問を受け、その中の1人は拷問により死亡した。
ワシオールにおいては、調査チームは2001年の6カ月間の悪名高い警察機動隊(Brimob)による作戦下で起きた超法規的処刑、恣意的拘禁、拷問を含む人権侵害の報告を調査する予定である。この作戦は木材伐採企業への襲撃への報復であった。この襲撃はOPMによるものであると政府は発表しており、襲撃でBrimob のメンバーを含む9人が殺害されている。
この調査の重要性を過小評価することはできないが、調査への協力や明らかになった事実の証明に対する政府への信用は過去の経験や最近の出来事によって失っている。
2001年初め、別のKPP HAMチームは2000年12月にパプアのアベプラでの学生寮への警察の襲撃での超法規的処刑や恣意的拘禁、拷問の申し立ての調査を行なっていた。目撃者たちは警官によって脅迫され、警察はチームからの質問に適切に答えることを拒否した。チームのメンバー2人は後に、彼らを脅迫しようとしたと考えられているが、警察に尋問のために出頭を命じられた。
アベプラ事件は検事総局によって調査されているが、人権裁判所法(Law 26/2000)の下で調査されている他の多くの人権侵害と同じように裁判にまで進んでいない。このような遅れによって、インドネシアにおける免責を終わらせる政府公約への疑問が生じてくる。
2003年12月、ワメナで16人が再逮捕された。少なくとも4人の良心の囚人を含むこの16人は、2000年10月、暴動となり警察に解散させられた独立支持抗議行動に関連して当初逮捕された。実際この4人の良心の囚人はみな地域社会の指導者で暴動を止めようとしており、他の人びとも参加したかどうか明らかではない。4人の良心の囚人を含む22人は不公正な裁判で4年以上の刑期の有罪判決を受けた。
2001年、ワメナの囚人たちは釈放された。それなのになぜ22人のうち16人が再び投獄されたのか明らかでない。3人の良心の囚人を含む12人は、2003年12月21日ワメナの刑務所からアベプラ刑務所に移送された。この刑務所は囚人たちの家族から数百キロメートル離れている。
この行動によってパプアの住民たちの政府への疑惑を深めてしまった。この状況はワメナとワシオールの出来事の真実を明らかにするKPP HAM の手助けとはならないだろう。
原文はこちら 右上写真：Wamena Murjono Murib © AI
戻る