「チリの最高裁判所は真実と正義の実現への決意を表した。」
アムネスティは本日、「コンドル作戦」におけるアウグスト・ピノチェトの責任に関する訴追について彼の免責特権を剥奪するとしたチリ最高裁の判決をうけ、このように述べた。

最高裁のこの判決により、アウグスト・ピノチェトを他の一般市民と同じように裁判にかけることが可能となった。これは、軍事政権の下で犯された人権侵害に真正面から取り組むことを20年間にわたって先送りにしてきた司法への信頼を取り戻すための重要な一歩である。

判決は、数々の障害や先送りにもかかわらず弁護士、人権団体そして家族たちが絶え間なく努力を続けたすえにたどり着いたものである。この判決は、彼らの長い闘いが無駄ではなかったという新たな希望を与えるものである。

「免責と闘うためには、軍事政権の時代から一般に広く認められていることだが、行政、立法、そして司法当局が行動をおこすことが不可欠である。」

「チリにおいてピノチェトの軍事政権時代に行われた人権侵害−「失踪」、拷問および超法規的処刑−は、人道に対する罪を構成し、責任者はその責任を問われなければならない。最高裁の判決は正義を実現するための第一歩であり、すべての人権侵害の加害者に対する強いメッセージである。」アムネスティは、そう締めくくった。

背景情報

賛成9・反対8という僅差の票決により、最高裁判所の全体会議は、アウグスト・ピノチェトの訴追からの免責特権を剥奪することを決定した。チリ最高裁は、ピノチェトが元大統領として享受していた免責特権を剥奪することを決定し、それにより彼の政権時代にいわゆる「コンドル作戦」で犯された人権侵害について、彼に対する裁判を要請する法的手段の道が開かれた。　

「コンドル作戦」とは、1970年代および1980年代に「反対派」を排除するため、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、ウルグアイそしてパラグアイの南米南部６カ国の軍事政権によって行なわれた共同計画である。