コロンビアとペルー: 受入国で国から見放されたベネズエラ人女性たちは、増大するジェンダーに基づく暴力に直面している

2022年7月12日

コロンビアとペルー両国は、生活のあらゆる領域でジェンダーに基づく暴力に直面しているベネズエラ難民女性に、暴力や差別のない生活の権利を保障・保護・尊重することに関して、ほとんどできていないと、アムネスティ・インターナショナルは本日、新しい報告書「保護されない:コロンビアとペルーにおけるベネズエラ難民女性へのジェンダーに基づく暴力」で述べた。

「ジェンダーに基づく暴力からの保護は、米州のすべての国家にとって優先されるべきものである。そして出身国の大規模な人権侵害から逃れた人びとの保護と同じく。それどころか、コロンビアとペルーの状況に関する私たちの報告書が明らかにしたように、ベネズエラ難民女性は二重の残酷な保護の不足に直面しています」と、アムネスティの米州ディレクター、エリカ・ゲバラ=ロサは述べた。

近年大規模な人権侵害のために、600万人以上がベネズエラから逃れている。コロンビアとペルーは最も多くベネズエラ人を受け入れている。2カ国でベネズエラから逃れた人の50％以上（それぞれ184万人と129万人）を受け入れている。アムネスティは、ベネズエラ人は国際的な保護を必要としている、そして難民の地位を認められるよう要求する権利があると考える。

この新しい報告書は、コロンビアとペルーでそれぞれベネズエラ人の50％と58％を占めるベネズエラ難民女性が、その性別と国籍のために生活のあらゆる場面で暴力と差別にどのように直面しているかを強調している。公の場では、移動経路や定住した場所での攻撃に直面する。家族内では、パートナーや元パートナーから、経済的、世襲的、身体的、性的暴力に直面する。そして労働環境では、性的搾取を目的とした労働への取り込みを含む、さまざまな形態の暴力や労働搾取を経験する。

このまん延する暴力に直面し、アムネスティは、コロンビアとペルー両国が、ベネズエラ難民の女性に暴力や差別のない生活を保証する義務、あるいはジェンダーに基づく暴力の生存者のために司法へのアクセスを保証する義務に明らかに従っていないと結論づけている。

「男性の暴力の被害者であり、危険の中で暮らす多くのベネズエラ女性は、証明書類の地位のせいで国外に追放されることを恐れ、報告しない方を望みます。彼女たちが直面する暴力と危険は、彼女たちを支援し保護するための専門的手続きの不在によって悪化しています。彼女たちの移民の資格を正規化することは、彼女たちが経験した暴力を報告できるための基本的手段です」とアムネスティ・ペルーのマリナ・ナバロ事務局長は話した。

2022年上半期、ペルーのリマとトゥンベス、コロンビアのボゴタ、ククタ、ソアチャの訪問を含む、バーチャルでそして現地で、広範な調査を実施した。この報告書のために、アムネスティはベネズエラ人難民女性63人にインタビューし、ベネズエラ人女性団体を含む市民社会団体、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)やUN ウィメンなどの国際機関、そして国の機関に、45件の調査インタビューを実施した。

公表されている数字によると、ベネズエラ難民女性に対するジェンダーに基づく暴力は、コロンビアでは2018年から2021年の間に71％増加し、ペルーでは2019年から2021年の間に31％増加している。外国人嫌悪、移民の地位、治安問題の原因となる外国人についての誤った通説、女性の認識されたセクシュアリティへの偏見は、社会的に既定の性別の役割と相まって、ベネズエラ難民女性が直面する危険性を増大させる。

報告書は、コロンビアとペルーの両国で、国が保護の保証を失敗している複数の分野を明らかにしている。最初に、ベネズエラ女性は、国際的保護と移民正規化過程への効果的アクセスがない。彼女たちの他の権利の保護を保証するための最初の重大な障害を構成している。

第二に、コロンビアとペルー両国は、差別なく司法と保健サービスのアクセスというベネズエラ女性の権利を保証していない。両国の国の対応における多くの欠点の中で、この調査は、ベネズエラ女性が享受するべき権利・ケアパス・保護手段について、ジェンダーに基づく暴力の生存者のニーズに取り組む責任のある役人の側の認識不足を明らかにしている。同時に、これらの女性の国籍やジェンダー、あるいは性自認に関係するステレオタイプを明らかにしている。また、一時保護施設の利用そしてアクセスができないこと、適切な統計情報がないことも露呈している。

アムネスティは、コロンビアとペルーの当局に、ベネズエラの女性が暴力から自由で、性別・国籍、移民の地位、その他の理由に基づいた差別のない生活を享受できるように、直ちに措置を取るように要請する。とくに、コロンビアとペルー両政府は、ベネズエラ人女性へのスティグマ化や差別と闘い、国際的保護へのアクセスを保証し、司法への効果的なアクセスを保証し、ジェンダーに基づく暴力の予防と対処のための措置を改善し、ジェンダーに基づく暴力の生存者女性への包括的医療を保証するべきである。