シリア難民は再定住によってノルウェーで新しい生活を始めた

2015年10月20日　イナ・ストーム（アムネスティ・ノルウェー支部）

世界で最も脆弱な難民の一部にとって、再定住は開かれた命綱である。シリアから来た若い家族は、ノルウェーへ移ったという大きな変化がどのように彼らの人生を変えたのかを私たちに話した。

「ノルウェー当局は、カフラマンの最初の誕生日に意図的に呼び出すよう計画しました」と29歳のミュージシャンであるシェリハンは思い出して話した。 「彼らはこう言いました：『私たちはあなた方への贈り物があります。あなた方はノルウェーに来ることができます!』 私たちはノルウェーについて何も知りませんでしたが、とても幸せでした。」

ノルウェーの首都オスロの静かな街角の地味な1950年代の明るいアパートで、彼女と彼女の夫がお互いをからかっている。「これは私がどうノルウェーを見るかということです」と、31歳の芸術家ヘンナンは言った。「子どもが一番になり、それから女性、それから犬、最後は男性です!」 2人は笑い合う。

血が飛び散ったパンのかけら

幸福な光景がシリアのアレッポから100万マイル離れたところにある。 「あの頃は辛かったです」とヘンナンは言った。「私は、狙撃兵によってパン屋から出掛けた男性が撃たれたところを見ました。」

「彼は、自分が非武装であることを示すために1かたまりのパンを頭の上に乗せて運びました。」 彼の死体の周りには、血が飛び散ったバラバラになったパンがありました。 「私は1人の女性がパンのかけらを集めているのを見ました。彼女にはたぶんお腹をすかせた子どもが家にいるのです。」”

「私の新しいスケッチのほとんどは悲しみです」とヘンナンは付け加えます。「なぜならそれらは私たちの戦争の経験に基づいているからです。」

シリアでなんとか生き延びる

「アレッポでは私たちの生活は単純でした」とシェリハンは話した。 「私たちは仕事へ行き、晩御飯を作り、家族か友人との時間を過ごしました。 私は音楽協会でフルートを演奏しました。私には多くの夢がありました。私たちは、素敵な車と大きい家を買うために貯金していました--子どもを育てる場所です。 ご存知のとおり、だれもが欲しいものです。」

「私は家にいるのが好きでした。友人と政治について議論したり、読書をしたり。」とヘンナンは言う。「私は約700冊の本を持っていました。 そのうちのいくつかは宗教あるいは政治あるいはクルド語であるために違法でした。クルド語はシリアの学校、職場そして本では禁止されていました。 」

「私たちのアパートは反政府側と政府側の間の境界にありました。ある日だれかが私たちの隣人を射殺しました。 ただ彼がアサド[シリア大統領]を支持だと思われたからです。」

「私たちは田舎に移りました」とシェリハンは続けた。「寒かったです、そして食べるものもなく、水も電気もありませんでした。私はその時妊娠していました。私たちは未来について考えることもできず、ただ生き残る能力だけがあったのです。」 彼らの息子カフラマンは2013年6月24日に生まれた。

トルコでの厳しい時間

「カフラマンが生まれて数カ月が経ってから、私たちは彼が私たちの動きにちゃんと反応していないことに気付きました」とシェリハンは続けた。「医師は、彼は目が見えていないし、一生そのままだろうと私に言いました。私はひどく落胆しました。」

「私は、セカンド・オピニオンを得るためにアレッポに戻ることを決めました。13時間かかりました。そして狙撃兵が多くの人びとを撃ち殺した道路を私は渡らなければなりませんでした。 私は腕でカフラマンを抱えて、走りました。

「医師はある希望を私に与えましたが、私たちが定期検診のためにカフラマンをアレッポに連れて戻って来なければならないと言いました。その時私たちはトルコに行くことを決めました。

「トルコはシリアよりさらに困難でした。私たちは9カ月間小さなアパートに他の3家族と一緒に滞在しました。ヘンナンは一日中ただ同然で働いていました。私たちは必要とする医療をカフラマンに与えることができませんでした。私の人生で最悪の時でした。」

国連難民機関であるUNHCRへの登録後、この若い家族は再定住の資格を得たと言われた。

「ある日、私たちはノルウェーの入国管理局が私たちにインタビューをしたがっていると言われました」とシェリハンは言った。

ついに安全に

2カ月後、彼らはようやく安全へと向かっていた。「自分たちの最も大事な所有物だけを運んで、私たちは身軽に旅行しました。ヘンナンのアートワークの絵の入ったノート型パソコン、私たちの人生、そして私のフルートです」とシェリハンは話す。

「私は、2014年9月23日に私たちがオスロの地に着いたまさしくその瞬間を覚えています。それは重要な瞬間でした--私たちはついに安全になったのです!」

「ノルウェーはシリアとは非常に異なっています」とヘンナンは言う。「気候は私たちが予想したよりもっと寒いです。しかし図書館でクルド文学を見つけたとき、私たちは、自由が現実のものである場所に来たことを知りました。」

普通の生活

ヘンナンは私たちに、2010年に彼らの結婚式でレース細工のある純白のドレスを着て、フルートを吹くシェリハンの絵を私たちに見せてくれた。「私は戦争前の私のことを寂しく思います」と彼女は言う。「私の古い生活です。」

しかし、彼らは落ち着き始めている。2人とも現在は流暢にノルウェー語を話している。2歳のカフラマンは視力が悪いので幼稚園で他の子どもの周りで少し心配している。しかし、彼は新しい友だちミーナに質問ばかりをしており、すごいスピードで彼のアパートの周りでうまくやるようになっている。

「私たちのノルウェー人の友人たちは、なぜモスクへ行かないのか尋ねません。あるいはもし私たちが1杯か2杯のビールを飲んでも意見を述べません」とシェリハンは話した。「彼らは決して裁きません。しかし彼らは自転車ヘルメットに取りつかれています! ある友人は私が使っていないと常にしつこく文句を言っています」と彼女は微笑む。

彼らにはまだシリアに家族や友人がいる。 「私の唯一の望みはこの戦争がすぐ終わることです」とヘンナンは話した。「戦争が終わるまで一般市民はやむなく逃げるでしょう。国際社会は戦争を止めるために今まで以上のことをしなければなりません。」 「すべての国が難民を歓迎し、その数はバランスがとれて公正であるべきです」と、シェリハンは付け加えた。

「私がなにかを望むなら、仕事、独立そして私たちの愛する人たちと一緒にいることです。」とシェリハンは言う。「安全な普通の生活、ただそれだけです。」

400万人以上のシリア難民がその地域のたった5カ国に避難している。アムネスティは、2016年の終わりまでに、UNHCRが最も脆弱であるとみなした人びとのうち10パーセント、40万人が世界の最も裕福な国で再定住するよう要請している。私たちは2017年終わりまでに全世界で145万人が再定住する必要があるだろうと推定する。