|
シン・ドンヒョクは、政治囚収容所(管理所)から何とか逃れた収容所生まれとして知られている唯一の朝鮮民主主義人民共和国の人物である。1982年に平安南道の第14収容所で生まれ、2005年彼は有刺鉄線をくぐり抜け、大韓民国に辿り着いた。彼は『第14収容所から逃れて』のプロモーションのために英国ロンドンに滞在中、私たちと話した。この本はジャーナリストのブレイン･ハーデンによるシン・ドンヒョクの途方もない物語である。
Q: 管理所の中での暮らしはどのようなものでしたか?
A:
私は母と一緒に小さくて汚い部屋に住んでいました。犯罪者が住む場所が清潔であるはずがありません。犯罪者の両親の下に生まれたので、私は犯罪者の生活を送らなければなりませんでした。壁はかびだらけで、雨漏りがしました。冬には部屋は凍えるようでした。私はその日の仕事の割り当て量を達成できるかどうかを心配しながら、毎朝起きていました。達成できない場合、食事はありませんでした。収容所の看守がくれたものは何でも食べました。彼らが命令したことは何でもやりました。
学校で私が学んだのは書くことだけでした。6歳から簡単な算数と農場での重労働を行ないました。北朝鮮、その政府そして外の世界について私たちには何も話してくれませんでした。管理所にいる人は人間以下−何も教える価値のない動物だとみなされるのです。
Q: 収容所でも最も過酷な経験は何ですか?
A:
重労働と絶え間のない殴打を伴った飢餓は最も過酷でした。収容所の看守は子どもや女性、高齢者にも容赦しません。もしあなたがミスをすればすぐに殴打されます。殴り殺された人もいます。
ある日学校で、教師が私たちを身体検査し、1人の少女からとうもろこし5粒を見つけました。その教師は彼女がとうもろこしを盗んだと考えて、私たちの前で彼女をひどく殴りました。少女は気絶し、私たちは彼女を彼女の母親の元へ彼女の家に運びました。翌日彼女は死んでいました。(彼女は6歳でした。)
このようなことはとてもよくありました。
その後私が織物工場で働いていたとき、私は誤って床にミシンを落とし、ミシンは修理できないほど壊れました。看守の1人は非常に怒り、私を罰するために私の中指を切り落としました。当時私は処刑を免れたので幸運だと思っていました。
Q: あなたの両親との関係はどうでしたか?
A:
愛情に満ちたものではありませんでした。私にとって家族という概念は未知のものでした。私たちはまさしくみな犯罪者でした。私はまだ家族とは何かを学んでいます。
Q: 外の世界についてどんなことを想像していましたか?
A:
私は、私たちが収容所の中で教えられ見て聞いたものが世界のすべてだと思っていました。私が当時知っていた世界は収容所の看守と犯罪者だけが存在する場所でした。ある被収容者パクに会ったときにだけ、私は外の世界について聞きました。私はうまく想像できませんでしたが、どのようなものだろうと想像し始めました。私は彼が話したことを信じていませんでしたが、挑戦することに決めました。私たちは一緒に脱出を試みました。残念なことに彼は脱出できませんでした。
|
|
Q: あなたは拷問を受けました。何があったのですか?
A:
収容所で暮らしていた時には、私はそれが拷問であるとは思っていませんでした。誤りを犯したので、私は拷問を受けるのに値するのだと思いました。私の母と私の兄が脱出を試みたために処刑されたとき、私の父と私も実行されるはずでした。しかし私たちは奇跡的に免れることができました。私の母と兄のために逆さまに吊られ石炭の火でやけどしたとき、私はこうされることが正しいのだと思いました。私を拷問していた人間に怒っていませんでしたが、私は母と兄の悪行のせいだと思いました。
Q: その後あなたの見方はどのように変わりましたか?
A:
脱北以来、私は世界中を旅行し多くの新しい感情を感じています。しかし私はまだ非常に混乱していると感じています。政治囚収容所では、私はこれらのすべての苦しい経験に受けることがまったく自然なことだと思いました。しかし私が脱出し、韓国と米国に住み、これらの経験は実際に非常に苦痛だと感じます。私の人生についての本が出版されたので、私は収容所にいたときよりもストレスを感じています。自分の過去から逃げることができないと思います、なぜなら本の中で再び語られたからです。
Q: 北朝鮮の政治囚収容所を閉鎖するために世界は何ができるでしょう?
A:
本の中で、私は何年も持ち続けていた恥ずかしい秘密を明らかにしました。私が通報したために私の母と私の兄が公開処刑されたという事実です。人びとがこの本を読み、私の秘密を知って、その後すぐに忘れてしまうか、あるいはこの残酷な人権侵害を終わらせるために何か行動を取るのか、私は分かりません。私は国際社会が北朝鮮においてこれ以上の殺害を防ぐ助けとなることを希望します。起きていることに注意を喚起することは大切です。私はこの本がそうなることを望みます。
北朝鮮の人びとはこのことについては何もできません。もし変化が起こるのであれば、私は北朝鮮政権に圧力をかけ続けるアムネスティといったNGOを通じてだと信じています。アムネスティなどの団体を市民がサポートすることが重要です。
Q: 話すのがとても難しいことだと思います。なぜあなたは話してくれたのですか?
A:
忘れたいと思う記憶を呼び起こすことは困難な仕事です。しかし私は死ぬまで一生を奴隷として生きることを運命付けられた管理所で生まれる赤ん坊を考える時、この残酷な制度を終わらせるためにできることをしたいと感じます。
Q: 現在あなたを動かすものは何ですか?
A:
物質的には私は現在よい暮らしをしています。その点では私は満足した生活を送っています。しかし精神的には私は非常に混乱しています。ワシントンDCとソウルに住んでいますが、私は、世界に家と呼ぶことができる場所がないと思っています。
“Hell holes”: North Korea’s secret prison camps at:
http://www.amnesty.org/en/news/north-korea-catastrophic-human-rights-record-overshadows-day-sun-2012-04-12
|
|