アムネスティ・インターナショナルは、コンゴ政府にコンゴの武装勢力の元指導者、ボスコ・ンタガンダを国際刑事裁判所(ICC)へ裁判にかけるために引き渡すよう要請している。

ンタガンダは15歳以下の子どもをコンゴ愛国者解放戦線(FPLC)に徴用し、2002年から2003年にイトゥリで子どもたちを戦闘員として使用したとしてICCに起訴されている。

2006年にICCによって発行された逮捕状にもかかわらず、ボスコ・ンタガンダはコンゴ軍においてこれまでと同じ将官の地位に就いた。コンゴ軍と統合したことにより、彼は司法から安全となった。東部の北キヴ州で彼の指揮する部隊は多数の人権侵害を引き起こし続けている。

先週ゴマで行なわれた公開演説で、カビラ大統領はこう宣言した。「私たちはボスコを逮捕し、彼をICCに送る必要はありません。(略) 私たち自身で彼を逮捕することができます。そして彼を逮捕し、ここで裁く100以上の理由があります。もしそうできないならば、他の場所で、〔首都〕キンシャサで可能です。私たちが資金不足しているのは、理由ではありません。」

ICCのローマ規程の締約国として、コンゴ民主共和国(DRC)は、容疑者を逮捕し、裁判所に引き渡すことで、国際刑事裁判所の逮捕状に十分に協力するという法的義務がある。ICCがおよそ6年前に彼に関する逮捕状を発行したという事実にもかかわらず、ボスコ・ンタガンダをDRCで裁判にかけるつもりだというカビラ大統領の最近の声明は言語道断である。DRC政府が彼を逮捕しICCに引き渡して裁判にかけることによって被害者に正義をという約束を果たす今がその時だとアムネスティは考えている。しかしながら、一般市民の安全を保証するために、このような作戦は、市民を保護する義務を持つ、DRCにおける国連平和維持部隊であるMONUSCOの支援を受けて行なうべきであるとアムネスティは考える。

DRCの国内司法制度

もしDRCの国内の裁判所は本当に意欲的でボスコ・ンタガンダが起訴されている犯罪を訴追できるとICC判事にDRC政府が示すことができれば、ボスコ・ンタガンダは国内で裁判を受けることができるだろう。DRCの脆弱な国内司法制度が彼に対する真の訴訟手続きを行なうことは、全くありそうにない。現在の国内法においては、彼は軍事裁判所で起訴されなければならないが、軍事司法制度は、コンゴ政府からの支援不足や裁判官や検察官への永続的な脅迫や威嚇のために、今まで彼を起訴も逮捕もできていない。

アムネスティはDRCにおける数10年に渡る不履行、汚職、そして政治的干渉が、信頼を欠如し最も深刻な犯罪に取り組むことができない国内司法制度にどのような結果をもたらしているかを発表している。

2011年の報告書『今こそ正義を：コンゴ民主共和国に新しい戦略が必要である』はどれほど司法制度が目撃者や被害者を保護することができないか、自身の判決を執行できないか、そして囚人を刑務所の中に留めておくことさえもできないかを説明している。

カビラ大統領が、DRCで犯された国際法の犯罪の捜査をICC検察官に依頼してから8年が経過している。しかしそれ以来、政府は、民間人に対する人道に対する罪と戦争犯罪を犯した人間を裁きにかけるために、国内司法制度の再建のためにはほとんど何もしていない。

現在DRCでは、軍事裁判所はジェノサイド、人道に対する罪、および戦争犯罪について--民間人が被告の場合も含め専属管轄権を持っている。

コンゴ当局は、ICC規程を実施するために国内法を制定していない。そしてDRCの裁判所はいまだ死刑を宣告している。アムネスティは生きる権利および残酷で非人道的かつ品位を傷つける刑罰から自由である権利の侵害であるとして、すべてのケースにおいて例外なく死刑に反対している。詳細不明の犯罪で死刑を適用されるかもしれないDRCの軍事裁判所の法廷に、ボスコ・ンタガンダがICCが長年彼に対する容疑を立件している中で立つかもしれないという事実にアムネスティは憂慮している。

他の深刻な侵害の免責

彼がコンゴ軍に統合する前に、ンタガンダの指揮下にあった人民防衛国民会議(CNDP)のメンバーたちは北キヴにおいて不法な殺害、性的暴行、拷問、子ども兵士の徴用を犯してきたと言われる。最悪の犯罪のうちの1つが2008年11月に起きた。その際にCNDPはキワンジャ(北キヴ州ルツル地域)で少なくとも民間人150人を殺害した。容疑者の多くはキワンジャで関与した人間も含めて、全員が免責を受けた。このような不正は終わらせなければならない。

DRCの新たに選出された政府は、ICCのケースに協力し、司法制度を再建するための包括的改革を実施しなければならない。国際社会も同じようにこの改革を要求しなければならない。

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関連資料:
報告書：今こそ正義を：コンゴ民主共和国に新しい戦略が必要である
アクション：国際刑事裁判所の容疑者逮捕に国連の支援を- iny.cc/ICCfugitives
Video: Who will be next at the ICC after historic Lubanga verdict?
http://www.youtube.com/watch?v=RdRbRzfHjOc