|
チリの判事はピノチェト時代の「拷問船」で聖職者の拷問事件という歴史的な事件を、彼の死に加担した人間の大部分に対する起訴を取り下げることで、司法の茶番劇に変えている、とアムネスティ・インターナショナル(以下アムネスティ)は話した。
明日(15日)は、最初に起訴された29人の元海軍兵士および元警官のうち19人に無罪を言い渡したこと含む、裁判長の以前の裁定に反対してマイケル・ウッドワード神父の家族によって開始された新たな控訴審である。
カトリックの聖職者であり、英国およびチリの国籍を持つ彼は、1973年海軍艦艇エスメラルダ号で拷問を受けた後死亡したと思われている。その年この船は多数の囚人たちの尋問施設として使用されていた。
この船は海軍の訓練船およびチリ政府の「動く大使」としていまだ使用されている。
「この裁判官はマイケル・ウッドワード事件を司法の茶番劇に変えています。」とアムネスティの米州部副部長であるグアダルーペ・マレンゴは話した。
「調査の中で罪の自白を報告した人間がいたにもかかわらず、国際法の下での犯罪の起訴を取り消し骨抜きにすることは、全くの不名誉です」
残りの10件の下位役人に対する起訴は現在、聖職者への拷問や失踪といった人道に対する罪ではなく誘拐罪で起訴されている。
「これらの恐ろしい行為の命令を出した高位の役人は、責任から免れています。」と、グアダルーペ・マレンゴは言った。
調査判事であるミゲル・フリオ・ミランダは3月に任命された。彼は前任の判事マリア・エリアナ・ケサダの徹底した調査を切り上げ、弁護士団やウッドワードの家族にアピールする時間を許可せずに、多くの起訴を破棄した。
チリ国防衛委員会さえ判事の裁定に抗議している。この政府機関に対して法律の定めるところによる直接提供なく判事によって裁定がなされた。
アムネスティは、1973年エスメラルダ号における多数の政治的な投獄および拷問の事件を公表した。ちょうどアウグスト・ピノチェト司令官によって軍事クーデターが行なわれた後のことである。
ウッドワード神父は、1973年9月16日にバルパライソで海軍の哨戒兵に逮捕され、その後、尋問を受け拷問された場所であるエスメラルダ号に連行された。6日後、彼はバルパライソの海軍病院で死亡が確認されたが、彼の遺体は決して見つからなかった。
エスメラルダ号での尋問の生存者は激しい殴打や電気ショック、性的暴行があったと説明した。
エスメラルダ号は、現在、米州周遊の途中にあり、近々カナダに停泊することに対して地元の抗議行動の対象となっている。
「エスメラルダ号がチリのいわゆる大使として国際港から国際港までをいまだ運航していることは、ひどい皮肉です。この船の甲板の下でこの悪名高い拷問事件に関与した人間が殺人から免れようとしているにかかわらず。」とグアダルーペ・マレンゴは話した。
「チリ政府は、これら凶悪な犯罪に責任のあるすべての人間、命令を下した人間を含む、が裁きにかけられるよう保証しなければならないのです。 |